クリニックだより

慢性疾患との付き合い方:受け入れる勇気とその先にある未来

慢性疾患との付き合い方:受け入れる勇気とその先にある未来

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。

慢性疾患とは、その名の通り、長く続く病気のことです。

喘息、アトピー性皮膚炎、糖尿病、高血圧など、皆さんの周りにもこういった病気を抱えている方がいるかもしれません。

もしくは、あなた自身がその一人かもしれませんね。

病気と向き合う中で、多くの患者さんが悩むポイントがあります。

それは「病気を受け入れるかどうか」です。

病気を受け入れるということ

病気を受け入れる、というのは決して「諦める」ことではありません。

むしろその逆です。「これからどうしていくか」を前向きに考え始めるための第一歩なのです。

医学の世界では、病気に対する治療方針は科学的根拠に基づいて決められます。

医師は、その根拠に従い、患者さんの状態を見極め、将来を見据えた治療の方向性を提案します。

ただ、その治療が患者さんにとって「受け入れられる」ものであるかどうかは、また別の問題です。

受け入れられない理由は人それぞれ

病気を受け入れることが難しい理由は、人それぞれです。

  • 症状が思うように改善しない苛立ち
  • 「自分だけがこんな病気になった」という孤独感
  • 今までの生活スタイルが変わることへの不安
  • 周囲の理解が得られないことによるストレス

これらの気持ちは、とても自然なことです。

そして、私たち医療従事者も、それを理解しています。

時には「治療は必要なのに、患者さんがどうしても受け入れてくれない」というケースもあります。

それでも私たちは、患者さんの気持ちを尊重し、共に考える努力を惜しみません。

慢性疾患とどう向き合うか

慢性疾患を受け入れるかどうかは、最終的には患者さんご自身の選択です。

ただし、受け入れることで見える未来があります。

例えば、喘息の患者さんが「治療を続けて症状をコントロールすること」を受け入れた場合、運動や外出がより自由になる生活が待っています。

糖尿病の患者さんが「食事や運動に気をつけること」を受け入れた場合、合併症のリスクを減らし、健康的な日々を送る可能性が高まります。

受け入れる勇気を持つことで、自分の生活に少しずつでも変化をもたらし、前を向くことができるのです。

一緒に歩むパートナーとして

私たち医師や医療従事者は、患者さんの病気を治すことだけが仕事ではありません。

「病気とどう付き合っていくか」を一緒に考える、いわば“パートナー”のような存在です。

例外的なケースや難しい選択肢に直面することもありますが、それでも患者さんと共に歩む姿勢を忘れることはありません。

病気に対してどんな思いを抱いていても大丈夫です。それが怒りであれ、不安であれ、全て正直な気持ちです。

一緒にその感情を整理し、最善の道を見つけていきましょう。

最後に

慢性疾患を持つことは決して楽なことではありません。

しかし、それをきっかけに自分自身を見つめ直し、新しい未来への扉を開くことができるかもしれません。

どうぞ、あなた一人で悩まないでください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。