アスピリン喘息について 〜症状・原因・治療法〜
こんにちは。やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックの山口裕礼です。
「アスピリン喘息」という言葉を耳にしたことはありますか?
これは、アスピリンや解熱鎮痛薬、他の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用した際に発生する特異な喘息の一種です。
また、「アスピリン喘息」は別称として「アスピリン過敏喘息」、英語では AERD(Aspirin-Exacerbated Respiratory Disease) とも呼ばれています。
この病態は、喘息、慢性鼻炎(鼻ポリープを伴うことが多い)、NSAIDs過敏の三つの特徴を持つことが多いです。
今回は、アスピリン喘息の症状、原因、治療法について詳しく解説します。
アスピリン喘息とは?
アスピリン喘息は、アスピリンやNSAIDsを服用した際に発生する喘息発作で、成人女性に多く見られ、発症年齢は30〜50歳が一般的です。
アスピリンやイブプロフェンなどの薬剤が引き金となり、急激な気道収縮が生じます。
このため、息苦しさや咳、呼吸困難を引き起こすことがあります。
アスピリン喘息の主な症状
アスピリン喘息は、薬剤を服用してから数分から数時間以内に症状が現れることが特徴です。
以下が代表的な症状です。
- 呼吸困難
- ぜいぜい・ヒューヒューとした呼吸音(喘鳴)
- 咳の発作
- 鼻づまりや鼻水(アレルギー性鼻炎や鼻ポリープを伴うことが多い)
- 顔面紅潮
これらの症状が薬の服用後に見られた場合は、アスピリン喘息の可能性があります。
アスピリン喘息の原因
アスピリン喘息は、アスピリンやNSAIDsが体内でアラキドン酸代謝を変化させることにより、気道の炎症が生じやすくなり発症します。
この過程により、ロイコトリエンという炎症性物質が増加し、気道の収縮や炎症を引き起こします。
放置するとどうなる?
アスピリン喘息を放置すると、慢性的な喘息へ進行し、頻繁な発作が生活の質を著しく低下させることがあります。
また、適切な治療がされない場合、急激な発作が命に関わることもあります。早期診断と適切な対応が重要です。
どこに相談すべきか?
アスピリン喘息が疑われる場合は、以下の専門医での受診を検討してください。
- 呼吸器内科: 喘息や呼吸器の症状を専門的に診断・治療します。
- アレルギー科: 薬剤過敏反応やアレルギーの診断と治療が可能です。
- 内科: 初期症状の相談や総合的な診断を受けることができます。
治療法と予防策
アスピリン喘息の治療は、以下のように行われます。
- 薬剤の回避: アスピリンやNSAIDsを避け、医師に相談して代替薬を選択します。
- 吸入ステロイド療法: 炎症を抑え、気道を安定させます。
- 抗ロイコトリエン薬: 炎症性物質であるロイコトリエンの作用を抑制し、発作を予防します。
- ゾレア(オマリズマブ): 重症喘息患者向けの生物学的治療です。
セルフケアのすすめ
アスピリン喘息を防ぐために、以下のセルフケアを心がけましょう。
- 医師の指導のもと、薬剤の成分をしっかり確認する
- ストレス管理や適切な生活習慣を心がける
- 吸入器や必要な薬を常備する
まとめ
アスピリン喘息は特定の薬剤によって引き起こされる喘息の一種で、適切な予防と治療が大切です。
少しでも疑いがある場合は、呼吸器内科やアレルギー科での受診をお勧めします。
早めに対策をとることで、安心して日常生活を送ることができます。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼