春のタケノコを煮る時間は、からだを整える時間

〜タケノコと鶏肉の煮物から考える、季節の養生〜

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
山口裕礼です。

春になると、食卓にのぼるだけで少し気持ちが明るくなる食材があります。

そのひとつが、タケノコです。

今回は、タケノコを米ぬかで下ゆでし、鶏肉と一緒に煮物にしました。
皮つきのタケノコを鍋に入れ、米ぬかと一緒にぐつぐつ煮るところから始めると、料理というより、少し「季節の儀式」のような時間になります。

便利な水煮タケノコももちろん良いのですが、生のタケノコを下処理する過程には、独特の豊かさがあります。

「食材と向き合う時間」
「香りを感じる時間」
「火加減を見ながら待つ時間」

こうした時間そのものが、からだと心を整えてくれるように感じます。

タケノコは“春のからだ”に合う食材

タケノコは、春に旬を迎える代表的な食材です。

シャキッとした食感がありながら、煮るとやさしい味わいになります。
食物繊維を含み、噛む回数も自然に増えるため、満足感が出やすい食材でもあります。

ただし、タケノコは食べ過ぎると人によってはお腹が張ったり、胃腸に負担を感じたりすることがあります。
特に、胃腸が弱っているときや、体調がすぐれないときは、少量から楽しむのがよいでしょう。

旬のものは、からだに良い面があります。
しかし、どんな食材も「たくさん食べれば健康になる」というものではありません。

大切なのは、
今の自分のからだに合う量で、丁寧にいただくこと
だと思います。

米ぬかで下ゆでする意味

今回のタケノコは、皮つきのまま大きな鍋で米ぬかと一緒に下ゆでしました。

タケノコには独特のえぐみがあります。
米ぬかを使ってゆでることで、そのえぐみをやわらげ、食べやすくします。

鍋の中で米ぬかが泡立ち、タケノコの皮が少しずつやわらかくなっていく様子を見ると、料理は単なる作業ではなく、自然の力を少しずつ引き出す営みなのだと感じます。

下ゆでが終わったタケノコを切ると、内側には美しい層があります。
この断面を見るだけでも、春の生命力を感じます。

鶏肉を合わせると、日々の食事として整いやすい

タケノコだけの煮物もおいしいですが、今回は鶏肉を合わせました。

鶏肉を先に軽く炒め、そこに切ったタケノコを加えます。
だし、しょうゆ、みりん、酒などで煮ていくと、鶏肉のうま味がタケノコにしみ込み、やさしい煮物になります。

タケノコの食物繊維。
鶏肉のたんぱく質。
そして、だしのうま味。

この組み合わせは、派手ではありませんが、日々のからだを支える食事としてとても優秀です。

食事で大切なのは、特別な健康食品を足すことだけではありません。
むしろ、こうした普通の家庭料理の中にこそ、からだを整えるヒントがあると思います。

“整う食事”とは、薄味で我慢することではない

からだを整える食事というと、
「味が薄い」
「我慢する」
「楽しみがない」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし、私はそうは思いません。

今回のタケノコと鶏肉の煮物も、だしと調味料を使って、きちんとおいしく仕上げます。
ただ、濃い味でごまかすのではなく、タケノコの香りや食感、鶏肉のうま味を生かします。

おいしいけれど、重すぎない。
満足感はあるけれど、食後にだるくならない。
食べ終わったあとに、からだが少し軽く感じる。

そういう食事が、私にとっての「整う食事」です。

食べることは、からだとの対話

当院は、呼吸器内科・皮膚科のクリニックです。

咳、喘息、息切れ、アレルギー、湿疹、じんましん、皮膚のかゆみなど、さまざまな症状で患者さんが来院されます。

もちろん、病気には医学的な診断と治療が必要です。
食事だけで病気が治るわけではありません。

ただ、日々の食事、睡眠、運動、ストレス、季節との付き合い方は、からだの土台に深く関係しています。

「最近、外食が続いていたな」
「噛まずに急いで食べていたな」
「季節のものを味わう余裕がなかったな」

そんなことに気づくだけでも、からだとの関係は少し変わります。

タケノコを下ゆでして、切って、鶏肉と煮る。
その一連の時間は、自分のからだに意識を向ける時間でもあります。

からだ整えラボ的・タケノコと鶏肉の煮物

今回の煮物は、とてもシンプルです。

タケノコを下ゆでし、食べやすい大きさに切る。
鶏肉を炒める。
タケノコを加える。
だし、しょうゆ、みりん、酒で煮る。
火を止めて、少し味を含ませる。

たったこれだけですが、できあがった一皿には、春の香りと、家庭料理の安心感があります。

器に少し盛ると、見た目は控えめです。
でも、口に入れると、タケノコの歯ざわりと、鶏肉のうま味がじんわり広がります。

こういう料理を食べると、
「からだは、こういうものを求めていたのかもしれない」
と思うことがあります。

春は、がんばりすぎない整え方を

春は気温差が大きく、花粉や黄砂、環境の変化などもあり、体調が揺らぎやすい季節です。

新年度の忙しさで、知らないうちに呼吸が浅くなったり、睡眠が乱れたり、皮膚の調子が不安定になったりする方もいます。

そんな時期だからこそ、特別なことを無理に始めるより、まずは日々の小さなことを整える。

旬のものを食べる。
よく噛む。
温かいものをいただく。
濃すぎない味で、素材を感じる。
食事の時間を少しだけ丁寧にする。

それだけでも、からだは少しずつ変わっていきます。

最後に

タケノコと鶏肉の煮物は、春らしい一品です。
でも、それ以上に、私にとっては「からだを整える時間」を思い出させてくれる料理でした。

忙しい毎日の中で、料理に時間をかけることは簡単ではありません。
それでも、ときどき季節の食材に触れ、自分の手で整える時間を持つことは、心身にとって大切な余白になるのではないでしょうか。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックでは、病気だけでなく、その背景にある生活やからだの状態にも目を向けながら診療を行っています。

春の食卓に、タケノコの煮物。
からだを整える小さな一皿として、ぜひ楽しんでみてください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック
山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
からだ整えラボ
① 医学=呼吸器・アレルギー
② 生活=腸・温活・食・睡眠・肌
③ 幸福=働き方・環境・園芸
“病気を診るだけでなく、人をまるごと診たい”
——その思いを胸に、学びを続けています。
医学的根拠 × 生活習慣 × 心の豊かさ
三位一体の医療をめざしています。
資格:
<医学・医療>医学博士、日本呼吸器学会認定呼吸器専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医、日本喘息学会認定喘息専門医、日本内科学会認定内科医、日本喘息学会認定吸入療法エキスパート
<予防医学・代替医療・環境>
機能的骨盤底筋エクササイズpfilAtes™認定 インストラクター国際資格← NEW✨
カラダ取説®マスター・ジェネラル
環境省 環境人材認定事業 日本環境管理協会認定環境管理士、漢方コーディネーター、内面美容医学財団公認ファスティングカウンセラー、日本セルフメンテナンス協会認定腸内環境管理士、腸内環境解析士、日本温活協会認定温活士、薬膳調整師、管理健康栄養インストラクター、食育健康アドバイザー、日本フェムテックマイスター協会公認フェムテックマイスター®上級、公認妊活マイスター®Basic、日本スキンケア協会認定スキンケアアドバイザー、メンタル士心理カウンセラー、アーユルヴェーダアドバイザー、快眠セラピスト、安眠インストラクター
<文化・生活>
日本園芸協会認定ローズ・コンシェルジュ、ローズソムリエ®(バラ資格)
<受賞歴>
第74回日本アレルギー学会学術大会「働き方改革推進奨励賞」受賞