長生きしたければ、家をデザインだけで選んではいけません
当院はアレルギーの専門性を生かし、多くのアレルギー疾患の患者様を拝見しています。
・ぜんそく
・アレルギー性鼻炎
・アトピー性皮膚炎
・花粉症
診断と治療は当然のこと、原因と予防も常に考えています。
「なぜアレルギー体質になったのか?」
これは常に考えなくてはなりません。
原因は様々ありますが、ひとつの原因としては家の環境があります。
新築を選ぶ基準として、デザインや価格だけではなく健康に良いかどうかでが大切です。
圧倒的な断熱・気密性能で選ばなければなりません。
その理由として熱中症とヒートショックそしてアレルギーやシックハウスが挙げられます。
家の浴室で溺死する人が交通事故の死亡者数の4倍といわれています。
さらにカビやダニといった家の環境に苦しんでいる人もいます。
中途半端な高気密高断熱でビニール素材を多用した住宅では結露が多く発生し、ダニの温床やシックハウスの原因となります。
日本の家は、1つ屋根の下で寒い部屋と暖かい部屋、暑い場所と涼しい場所が混在し、それを誰も疑うことなく過ごしています。
日本の家から夏季の熱中症と熱帯夜や冷房病、冬季のヒートショックを無くすことや、カビやダニの発生を撲滅するなど、真の健康住宅を普及することが重要です。
私たちは外の空気が湿度、温度ともに気持ちが良い春や秋には、大いに窓を開け放します。
自然を取り入れ、自然と共生することは日本人のあたりまえの感覚です。
その一方で、温暖化や異常気象なども取りざたされるようになっております。
そのような時に住まいが一つのシェルターのような役割を果たすべき時代を迎えようとしています。
私の文章が、一つの意見として多くの方に幸せな家を選んでいただきたくご参考になればと思います。
一般的に3つの性能が家づくりには重要です。
基本的な一つは、地震に耐える力を表す「耐震性能」。
二つ目は家の寒さ・暑さに関わる温熱環境を表す「断熱・気密性能」。
そして三つ目はその家で暮らすために必要なエネルギー量を表す「省エネ・創エネ性能」です。
今どきの住宅における耐震性能はある程度満たしています。
家をデザインやインテリアで選ぶ人は多くいますが、断熱・気密性能で家を選ぶ人はまれです。
断熱・気密性能が高ければ省エネの住宅になり創エネ性能が高くなります。
性能と呼ばれるものは、すべて目に見えないものです。
しかし、これらをおろそかにしてしまうと大きな後悔につながります。
たとえば、大地震が起こった時には、耐震性能が不十分な家では大切な家族を守れません。
一方、断熱・機密性能が低い家で暮らすと冬の寒さで風邪を引きやすくなり、最悪の場合はヒートショックを招きます。
また結露によってカビやダニなどのアレルギー物質を生み出します。
最近は、夏になると猛暑による熱中症の予防が盛んに喚起されています。
しかし、断熱性能が低く、日射遮蔽ができていない家は熱中症のリスクが高まります。
さらに冷暖房に必要なエネルギー量も増えるので光熱費が高くなります。
家は三軒建てないと満足しないと言われます。
一軒目の家作りでは外観のデザインや間取り作り、インテリアを考えることまでで精一杯です。
そのため性能は後回しになってしまいます。
さらに、急がされる契約や複雑な料金体系が拍車をかけます。
三軒建てることとは、施主が家作りを何回か経験し、世間の情報に惑わされることなく、自分の目で真実を見て確かめ、自ら最先端の家作りを提案できる状態になるまでに必要な準備期間なのです。
そこで最終的に気づくのが断熱・気密性能、化学物質です。
多くの方が語る「失敗しない家作り」は間取りやインテリアなど表面的なことだと思いますが、そうではありません。
中身である住宅の性能がもっとも重要です。
その中でも、まず必要なのは圧倒的な断熱・気密性能です。
断熱・気密性能といっても住宅メーカーによって差があります。
それらの指標は数値で分かりますので、施主がきちんと調べなければなりません。
次に、なぜ住宅の高気密高断熱化が健康について必要かについて考えてみます。
メリットは2つ。
一つ目に、ヒートショックの予防になること。
二つ目に、アレルギーの予防になることです。
ヒートショックとは急激な温度差で脳梗塞や心筋梗塞を起こすことです。
気密性が低く、断熱性能が低い住宅では温めた熱がどんどん逃げていきます。
そのため家全体を暖房しようとすると非常に高い暖房費がかかります。
そのため日本の暖房は「間欠暖房・部分暖房」が多いといえます。
必要な時に必要な部屋だけ暖めるという、一見すると効率が良い暖房に思えますが、これは命の危険性をはらんでいます。
それがヒートショックです。
高気密高断熱の住宅になると、熱を外に逃がさないので、家全体を効率よく暖めることができます。
寒い冬でも脱衣所と浴室、廊下、居室の温度差が小さいのです。
そうすると、冬は活動量が増えます、ドアの閉め忘れでイライラすることはありません、寒暖差での咳も少なくなります。
アレルギーの代表的な病気はぜんそく、鼻炎、アトピー性皮膚炎で、年々増えてきております。
多くの原因はハウスダスト、ダニ、花粉などのアレルギー物質です。
一般的に、梅雨から秋までの湿度の高い期間において室内が暑ければ窓を開けます。
それによって家の湿度が高くなります。
しかし湿度のコントロールまで意識をする人はまれです。
日本家屋はこれまで千年以上行われてきた風通しによるカビ対策から、高気密な家の性能を使って家中を除湿するというカビ対策へと移り変わる大きな転換点にあります。
断熱性能が低い家では、窓など分かりやすい場所に限らず、タンスなどの家具の裏、押し入れの中などでも結露が発生します。
結露の怖さは住宅への被害だけではありません。
人の健康にも大きな影響を与えます。
結露を放置すると床材などをはじめとする木材、建材が湿ってカビが発生しやすくなります。
そして、カビを餌とするダニも増えていきます。
カビの胞子、ダニのふん、ダニの死骸が乾燥して室内に大量に漂います。
これらは喘息や様々なアレルギーの原因となります。
理想の住宅とは、高気密にして高性能な断熱材の使用をすることです。
断熱性能を高めるには、窓や外壁、屋根はもちろん、換気、床や基礎の部分まで断熱について配慮しなければなりません。
さらに注目すべき点は窓と暖房です。
住宅の省エネルギーの世界において、日本は後進国と言われています。
家の断熱性能に大きく影響するのが窓です。
最近では、ペアガラスなども普及しているのですが、注目すべきはサッシの素材です。
多く普及しているアルミサッシは大量生産でき安価ですが、断熱性能は極めて低いのです。
これが海外だと、樹脂製のサッシが主流になってきます。
日本で主流のアルミサッシは断熱性能を犠牲にしております。
さらには、省エネ性能も犠牲となっているのです。
理由は樹脂製のサッシが高価だからです。
次にヒートショックを回避して快適な暮らしを実現するには暖房計画を考える必要があります。
様々な暖房設備の中で床暖房は安全でやわらかい暖かさを提供し、身体にかかる負担軽減します。
環境にやさしく、建物の性能が高ければ経済的です。
さらに床暖房を全室に設置します。
押し入れ、トイレ、キッチン、洗面所、風呂すべてに配置する。
いわゆる全館床暖房です。
さらに家全体を空調管理し、温湿度を管理する。
外からの空調はフィルターを通して花粉や黄砂をシャットアウトする。
一方、高気密高断熱は技術的に優れた工法ですが、しっかりとした施行業者を選ばないといけません。
シックハウスは住宅の高気密化などが進むに従って、建材から発生する化学物質による室内空気汚染などによって引き起こされます。
私たちが化学物資を使用しないで、天然素材だけの日常生活を送ることは困難です。
そこで必要なのは換気技術とシックスハウス症候群の主な原因とされるホルムアルデヒドを代表とする化学物質を極力使用しないことです。
施主が3軒建てないと満足できない理由は、工務店やハウスメーカーにも責任があります。
住宅建築に関するトラブルが後を絶ちません。リピートしないビジネスという特性、間接費(経費)が高いことなどの要因があります。
さらに拍車をかけるのが、分かりにくい料金体系です。
さらに、それらを理解していない施主側の知識不足という責任もあります。
土地と建物の代金だけでは家は作れません。
さらには付帯工事費や諸経費といったものがあります。
トラブルの多くの場合は契約後に表面化する見積もりトラブルです。
契約後、なぜか1000万以上も金額が上積みされていることもよくあります。
契約後の住宅トラブルの解決は不可能に近いといわれています。
とくにターゲットになるのは公務員、医者、大学勤務、一部上場企業サラリーマンといった安定した高収入の人です。
なぜかというと、勤め先、勤務年数、収入などの情報から銀行がその人にいくらまで貸せるかを把握しているからです。
そしてこういった情報から、相手の予算に納めるのではなく、銀行が相手に貸せる上限の金額まで価格を引きあげようとすることがあります。
それを裏付けるデータがあります。
ローンを組む時には、不動産会社や銀行などが緻密に「資金計画」を作成して審査が通ります。
しかし住宅ローンで100人に1人程度の方が破綻をしている現状があります。
自分の将来をしっかり見据えることが身の丈に合った家づくりです。
デザイン重視の家を建てると、居住性や快適性はどうしても後回しになります。
優先するのは見栄えなのか、あるいは住宅性能なのか。
この問いかけは、建て主にとって「良い家とは何か」を問うのと同じです。
大事なことは、2つ。
施主が圧倒的な高気密高断熱の家が良いという知識を持っていること。
分かりやすい料金体系であること。
これを理解していれば「その人にとっての良い家」、つまり「幸せな人生を送れる家」が実現するのです。
圧倒的な高気密高断熱住宅は自然と共生しながら、自然を超えた心地よさを追求した住まいなのです。
一生に一度の家の購入は、分かりやすい外観や価格やインテリアで選ぶかと思います。
しかし大切な家族の命を守るのは家の性能です。高気密高断熱、さらにはわかりやすい料金体系。
そのような夢のような住宅メーカーは存在するのでしょうか。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックは健康な家を応援しております。
アレルギー対応ハウス計画!JSA/WAO Joint Congress 2020 (第69回日本アレルギー学会学術大会)
投稿者プロフィール
- 2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。
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