医療の世界のカスタマーハラスメントについての考察 〜より良い医療のために〜
最近、社会全体で「カスタマーハラスメント」という言葉が広がっています。
医療の現場でも以前から「モンスターペイシェント」という言葉が使われており、医療従事者が過剰な要求や尊大な態度に苦慮するケースが少なくありません。
なぜこのような現象が起きるのでしょうか?
そして、どのようにして医療従事者と患者の関係をより良いものにできるのでしょうか?
今回は、これらの問題について考え、解決策を見出すための手がかりを提供したいと思います。
1. 患者の不安と高い期待
病院に来られる患者様は、体調の不安や病気への恐れから、心身ともに余裕がなくなることがあります。
その結果、完璧な治療や迅速な回復を期待し、思い通りに進まないと不満や苛立ちが生じてしまうことがあります。
こうした感情が医療従事者への過剰な要求につながり、結果として「モンスターペイシェント」と見られることがあるのです。
2. インターネット情報による誤解
今日では、インターネットやメディアで簡単に医療情報を手に入れることができます。
しかし、それが必ずしも正しい情報とは限りません。
正確でない情報に基づいて患者自身が診断を行い、医師の診断や治療と食い違った場合、混乱や不信感が生じ、医療者に対して攻撃的な態度を取ってしまうことがあります。
3. 医療は「サービス業」なのか?
医療は本来、患者様の健康を守るための社会的な支援ですが、時折「サービス業」として過剰な期待を寄せられることがあります。
患者様が「お客様は神様」という感覚を持つと、医療従事者を敬意をもって接する姿勢が欠ける場合もあります。
4. 医療システムの影響
医療従事者の多忙さや医療資源の不足も、患者様とのコミュニケーションに影響を与える要因となります。
待ち時間が長かったり、医療者が時間的に余裕がなかったりすると、患者様が不満を抱きやすくなり、その結果、医療者との信頼関係が壊れる可能性があります。
5. コミュニケーションの重要性
医療現場では、医療者と患者様のコミュニケーションがスムーズにいかないことが、誤解や不満の大きな要因となることがあります。
お互いが理解し合い、信頼を築くためには、より良いコミュニケーションが必要です。
医師としても、患者様の不安や疑問に丁寧に答え、わかりやすく説明することが大切です。
6. 患者教育の必要性
また、患者様が医療について正しい知識を持つことも重要です。
正しい情報があれば、治療に対する理解が深まり、医療者との間で誤解が生じにくくなります。
患者教育を通じて、不安を軽減し、より良い治療が提供されるよう努めていきたいと考えています。
7. 社会全体の意識改革
医療従事者に対する敬意や、患者様自身の自己責任といった意識が、社会全体で共有されることが重要です。
医療は、医療従事者と患者様の協力によって成り立つものであり、互いにリスペクトを持って接することが、良質な医療を実現するための第一歩です。
まとめ
傲慢な態度やモンスター行動は、必ずしも悪意から来るものではなく、患者様の不安や誤解、そして医療システム全体の課題が影響していることが多いのです。
私たち医療従事者も、患者様が抱える背景を理解し、冷静かつ丁寧に対応することが求められます。
そして、患者様にも医療の現実や医療従事者の努力を理解していただき、互いに信頼を深めていくことで、より良い医療が提供できると信じています。
今後も、より良い医療を目指し、皆様と共に歩んでいきたいと思います。
投稿者プロフィール
- 2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。
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