クリニックだより

恨みを手放して心を軽くする瞬間 〜患者さんに伝えたい新たな希望〜

清少納言の心の変化に学ぶこと

NHK大河ドラマ「光る君へ」の一場面で、清少納言(ききょう)が抱えていた「恨み」を手放し、新たな希望を見出すシーンが描かれました。

これは患者さんにとっても大切なメッセージを含んでいます。

彼女が「恨みを持つことで、己の命を支えてまいりましたが、もうそれはやめようと思います」と言った場面には、多くの視聴者が感動し、心の変化の大切さに気づかされたことでしょう。

苦しみを手放すことの意味

日常生活でも、怒りや失望を抱え続けることは、支えになっているようで実は大きな負担です。

特に長期的な体調不良や病気の中では、こうした感情が心の中に重くのしかかり、治療効果を阻害することさえあります。

医学的には、慢性的なストレスや心の不安が自律神経系に影響し、免疫力を低下させることが知られています。

結果として、病気の回復が遅れたり、症状が悪化することもあります。

現在の人にとっての具体的な「恨み」とは、職場での不公平な扱い、家族や友人との裏切り、過去の失敗や誤解などが挙げられるでしょう。

例えば、仕事での昇進を他の人に取られたことに対する恨みや、長年の友情がある日突然の出来事で崩れてしまったことに起因する怒りなどは、心に深く刻まれ、日々のストレスとして影響を与えることがあります。

自分では気づかずに心の奥底にしまい込んでいる恨みもあれば、決して忘れられないような辛い経験として鮮明に残っていることもあります。

過去の恋愛で受けた心の傷や、子どもの頃に受けた不当な扱いが大人になっても影響している例もあります。

こうした恨みは無意識のうちに心に根を張り、日常の中で自分を支配することがあります。

穏やかさがもたらす心身の変化

清少納言が刺々しさを捨てた後、「憑き物が落ちたように見える」と感じました。

これは、心の中の重荷を下ろすことで心身が軽くなり、新たな希望が見えてくることを象徴しています。

実際、心の平穏を取り戻すことで、副交感神経が優位になり、心拍数や血圧が安定し、身体がリラックス状態へと導かれます。

患者さんには、自分を縛る不安や怒りを手放し、穏やかさを取り戻すことが治療に有益であることを知っていただきたいと思います。

心を軽くするための第一歩

もしあなたが不安や怒りを抱えているなら、それを少しずつ手放してみましょう。

自分を許し、「もういいんだ」と思える瞬間を迎えることで、心身のバランスが整い、治療の効果が高まることもあります。

穏やかな心は、免疫力を向上させ、回復を促す力を持っています。

心を軽くし、希望を見つける旅路は、あなた自身を支えてくれるはずです。

自分を労わり、心の安らぎを大切にして日々を過ごしてみてください。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。