クリニックだより

薬嫌いについて考える:選択の自由とその先にあるもの

「薬を避けたい」という希望に応えるために

診察をしていると、「薬を極力飲みたくない」とおっしゃる方に出会うことがあります。

そのような考え方は、自然志向や自己治癒力への信頼といった価値観から来ていることが多く、尊重すべき大切な選択だと思います。

医療者としても、そのご希望を最大限考慮しながら診療を進めています。

本当に大切な時の医療との向き合い方

「薬をなるべく避けたい」というお気持ちは、日常的には問題なく実行できることが多いです。

しかし、もしご本人やご家族が命に関わるような病気に直面したとき、同じ考え方を貫けるでしょうか。

また、過去に薬を避けてきた言葉や態度を振り返ったとき、その考えに従って行動する覚悟があるでしょうか。

実際に私の診療経験の中で、重篤な症状が現れても「薬はいらない」とおっしゃった方にお会いしたことがあります。

その方の強い意志と姿勢は非常に立派だと感じましたし、信念を持ち続ける生き方として一つの答えだと思います。

言葉と選択が人生に与える影響

言葉や考え方は、自分自身の行動や選択に少なからず影響を与えます。

「薬を避ける」と決めている方の中には、それを日々の生活や健康管理に取り入れて、 実際に健康的な暮らしを送っている方もいらっしゃいます。

一方で、予期せぬ事態に直面したとき、その選択がどのような結果をもたらすのかについては、常に心の片隅に置いておくことが重要です。

信頼できる医療との関係を

私たち医療者の役割は、患者さんの価値観を尊重しつつ、その方にとって最善と思われる選択肢を一緒に考えることです。

「薬を避けたい」という希望をお持ちでも構いません。

その思いを共有しながら、必要なときに最適な治療法を見つけるお手伝いをさせていただきます。

最も大切なのは、心から信頼できる医療者とともに、自分に合った方法を選び取ることです。

どのようなスタンスであっても、困ったときに相談できる場があることが、安心につながるはずです。

やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。