嫌なことは忘れることで、今をより良く生きる
2024年12月8日夜に放送された「日曜日の初耳学」では、歌舞伎俳優・市川團十郎さんの素顔が家族によって語られ、その一端として彼が母親から学んだ「嫌なことは忘れること」という教訓が紹介されていました。
この言葉は、ただ単に過去を消し去るという意味ではなく、過ぎ去った出来事に囚われず、今この瞬間をより快適に過ごすための心の持ち方を示唆しています。
私たちは日々の生活の中で、大小さまざまなストレスや不愉快な出来事と向き合わなければなりません。
そうした時こそ、この教訓を思い出し、不必要な感情を手放すことで、心身を軽やかに保つことができるのです。
実際、長く続くネガティブな気持ちは、日常を楽しむ力を奪い、前向きな選択をする余裕を奪ってしまいます。
だからこそ、嫌なことを上手に忘れることで、より生き生きとした「今」を味わえるのだと思います。
また、団十郎さんのエピソードは、単に有名人の家族秘話として面白いだけでなく、私たちが普段あまり意識していない「心の整理」の重要性を気づかせてくれます。
特に現代社会は情報過多であり、SNSやメディアを通じて、時には不快なニュースやコメントに触れることも避けられません。
そのたびに心が重くなっては、日々の生活が息苦しくなってしまいます。
けれども、「嫌なことは忘れる」ことで、そういった情報の洪水から身を守り、自分自身の生活をより穏やかで明るいものに変えていくことが可能なのです。
心と体の健康を守るために
私たちは常に仕事や家庭、対人関係など、さまざまなプレッシャーと向き合っています。
これらをずっと引きずってしまうと、心の不調だけでなく、睡眠障害や消化器系のトラブル、頭痛や肩こりといった身体的不調として現れることもしばしばです。
「嫌なことは忘れる」という行為は、これらのストレス源から自分を解放し、心身を健やかに保つための強力なツールとなります。
実際、人間の脳は、ネガティブな記憶や情報に強く反応しやすい性質があります。
それらを必要以上に引きずると、いつの間にか慢性的なストレスにさらされている状態になり、集中力やモチベーションが低下してしまいます。
逆に、意識的に「忘れる」という選択をすることで、今目の前にある課題や楽しい出来事に全力で向き合う余裕が生まれます。
結果として、日常生活の質が向上し、心身ともにコンディションを整えることができるのです。
「嫌なことは忘れる」ためのちょっとした工夫
- 短い深呼吸:不愉快な気持ちが湧き上がったとき、数回ゆっくりと大きく深呼吸してみてください。呼吸に意識を向けることで、今この瞬間に戻りやすくなります。
- 軽い運動:散歩やストレッチ、ヨガなどの軽い運動は、溜まったストレスを解消する良い機会です。体を動かすことで、気分をリフレッシュし、頭をクリアに保てます。
- 良い面に目を向ける:今日あった小さな成功体験や嬉しい出来事、感謝できる人や物事を思い浮かべてみましょう。ポジティブな要素を再認識することで、嫌な記憶は相対的に小さく感じられます。
- 小さな楽しみを日々に加える:好きな音楽を聴く、香りの良いお茶を味わう、趣味に没頭するなど、ささやかな幸福を積み重ねることで、マイナスな気持ちを自然と手放しやすくなります。
このような小さな工夫を日常に取り入れることで、嫌なことに固執する習慣を断ち切り、心の中のスペースをポジティブな感情で満たすことができます。
習慣化することで、ストレスにさらされた時でも、スムーズに「切り替え」ができるようになるでしょう。
過去ではなく「今」を選ぶ生き方
過去の嫌な記憶に縛られていると、今この瞬間の喜びや成長のチャンスを見逃してしまいます。
今を生きるためには、「忘れる」という行為が、過去から自分を解放する扉となるのです。
実際、嫌なことを手放してみると、その後に訪れる小さな幸せや楽しみが一層輝いて見えるはずです。
何か不愉快な出来事があったとしても、それを抱え込み続ける必要はありません。
人生は一回きりであり、その限られた時間を、できる限り豊かで充実したものにするために、私たちは「忘れる」力を上手に活用できます。
目の前にある楽しい出来事や、新たな挑戦、これから出会うかもしれない素晴らしい人々との関わりが、あなたを待っています。
ぜひ、日常生活の中で「嫌なことは忘れる」ことを意識してみてください。
その選択は、あなたが今を最大限に味わい、明日へと前向きな気持ちで進んでいくための強い味方になってくれるはずです。
やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニック 山口裕礼