クリニックだより 内科

ぜんそくの薬の減らし方

内科

慎重に減らす必要があります

ぜんそくの調子(コントロール)が良好の場合は選択肢が二つあります。

● 現在の治療をそのまま続けること

あるいは

● 良好な状態が3〜6ヶ月持続していれば薬を減らす事を考慮する

どちらが良いかは患者さんによって異なります。

すなわち、調子が良いからと言って

● 無理して減らす必要は全くない

ということです。

違いはありますが、感覚的には

● 血圧のコントロールが良好だから薬を減らしましょう

といういことが無いと一緒です。

● 血圧が良いから今のまま薬を続けましょう

● ぜんそくの調子が良いから今のまま薬を続けましょう

と一緒です。

現状維持で薬を続けるか減らすかは

● 薬とアレルギー状態のパワーバランス(力関係)によります

下の記事も合わせてお読みください。

■ ぜんそくスケール

現在のパワーバランスがどこら辺りにあるのか見極めが重要です。

● アレルギーの体質はどの程度か

● イヌやネコ、ウサギなど毛の生えているペットはいるのか

● 仕事でほこりなどの暴露はあるか

● 過去にどの程度の発作があったのか

● 通年性のアレルゲンはあるか(ハウスダスト、ダニなど)

● ぜんそくを悪くさせるカビのアレルギーはあるか

● 現在の呼吸の機能はどの程度か

● たばこは吸ったことがあるか

● 喘息以外の病気はあるか

● 薬の副作用はあるか

・・・

様々な背景を考えなくてはなりません。

それを考えたうえで薬を減らすことを考えます。

● 減らしすぎるとぜんそくの症状が悪くなる可能性があります

では、減らすことを考えても良い、ぜんそくが良好な状態とは

● ぜんそくの症状(せきや痰、息切れなど)が一日を通してない

● メプチンやサルタノールの発作用の薬を使用していない

● 運動や日常の生活において症状がない

● 呼吸の機能が良いこと(呼吸機能検査やピークフローメータを用いての結果)


● ピークフローの日(週)内変動 20%未満

● 症状の悪化がないこと(予定外での受診、救急への受診、入院)

3〜6ヶ月間、上記の状態でなければ、無理して薬を減らすことはしません。

症状の悪化が月に1回以上あれば他の項目が該当しなくても

コントロールが良くない(調子が良くない)と評価します

患者さんに

「調子が良いですか?」 とお話をすれば 「調子は良いです」 

と回答があります。

調子が「良い、良くない」は患者さんによって感覚が異なりますので、注意が必要です。

呼吸の機能が良いこと に関しては

呼吸機能検査が多く用いられますが、当院においてはさらに、

● 呼気一酸化窒素検査; ぜんそくの状態が悪くなると上昇する患者さんがおります

● 総合呼吸抵抗測定装置 モストグラフ

も用いて総合的に判断をします。

また

● 吸入方法が自己流になっていないか練習器を用いて確認します

調子が良く、減らすか減らさないか迷うようであれば、副作用がない限り無理して減らす必要はありません。

ぜんそくの薬の減量の仕方で、これだけ長文になるのはそれだけ奥が深いということです。

優しい肺の検査 総合呼吸抵抗測定装置 モストグラフ

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世に一番普及している肺機能検査 スパイロメーター

投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。