クリニックだより 内科

ある病院から紹介があった、昔のタバコで苦しい患者さん

内科

ある病院からご紹介があった80代男性(仮)の患者さん


外科の先生からご紹介がありました。

外科は特に問題ないですが、

● たばこのせいだと思うが最近息切れが悪くなっているので治療をしてもらえないか?

という内容です。

このような患者さんは日本中に多くおります。

右肩上がりでさらに増えております。しかし、

● 年だから仕方がない

● たばこを吸っていたから仕方がない

● 体力無なくなったからこのようなものだ

と思ってしまっています。

たしかに、喫煙歴があり、年齢とともに呼吸機能は悪くなります。

● 問題は病的か否かです

タバコによる病気であれば、薬を使えば息切れ今より良くすることができます。

● 壊れた肺は元に戻りません

● 狭くなった空気の通り道を広げます

これからお話しする内容は呼吸器内科のまれな患者さんではありません。

どこにでも経験する内容で、良くあるパターンのまとめと思って読んでみてください。

当院での内容をご紹介します。

患者さんとお話をしましょう

● 静かにしているときは大丈夫ですが、道を歩いたり坂道や階段は苦しいです

● 痩せております

● 昔たくさんタバコを吸っていました

● 痰が絡みます

息切れの度合いは

● MRCの指標でみるとグレード3

です。

長年のたばこによる息切れ、ということがお話を聞いただけで想像できます。

● 体の酸素を測ってみると若干低めです

動いたときには、さらに酸素が低くなって苦しいのでしょう。

前側の胸の音を聞いても、それほど変な音はしません。

しかし、

● 背中側の胸の音を聴いてみると息を吐いたとき、最後の方でわずかに「ヒュー」

と音がしました。

● 空気の通り道が狭くなっているのだろうと想像できます

笛と同じで狭いところを空気が通るので音がするのです。

気になるところは、少しだけ足がむくんでいます。

苦しい原因が本当にタバコだけで良いのか検査しましょう

● レントゲンをしてみると、長年のタバコの煙によって肺が壊れているようです

● 総合呼吸抵抗測定装置モストグラフでは、空気の通り道が狭い結果でした

● 同じく「ヒューヒューする」ぜんそくを合併していないか、吐いた息の中の一酸化窒素を測定しましょう

 続けて息を吐く検査ですが、空気の通り道が狭いので続けて息が吐けません。

 無理はせず検査は途中でやめました。

 COPDとぜんそくの合併の内容はこちら

● できる範囲内で呼吸機能の検査をしてみると、確かに空気の通り道が狭く、息を吐くのがつらそうです

長年のたばこによって肺が壊れ、さらに空気の通り道が狭くなっていることが原因で苦しかったのです。

病気の名前は

● 慢性閉塞性肺疾患(COPD)

です。

肺と心臓は太い血管でつながっている、隣同士の臓器です。

● 肺が悪くなると心臓に負担がかかることがあります

心電図をしてみましょう。

● 心電図をみてみると確かに心臓にも負担がかかっている様子が分かります

そうすると、

● 足がむくんだりして、さらに苦しくなります

患者さんの足がむくんでいるのは心臓の影響でした。

治療のことをご説明しましょう

COPDはたばこの煙で肺が壊れて、さらに空気の通り道が狭いのです

● 壊れた肺は元に戻せません

● 狭くなっている空気の通り道を広げることにより息切れを良くします

吸入薬を使います。

様々な種類があり、使い方も様々であり患者さんに合った選択をするのが重要です。

● 当院においては後で看護師が使用方法を説明します

● もし使用が難しければ違う薬を選択します

● いざとなれば患者さん自身が使用しやすい薬を選択してもらいます

● 私が吸入器の中身に入っている薬をある程度決めておけば、あとはどのようにでもうまくいきます

患者さんがやせ細っていて体力がないことを考えつつ、そのほかの病気もあることを念頭に、

● スピオルトを処方しました

● 空気の通り道をぐっと広げてくれるイメージです

さらに、

● 苦しくなった時に、その場で息切れを良くしてくれる

● 坂道を上る前に、息切れがある程度楽になるように準備する

即効性がある吸入薬を一緒に処方します。

メプチンエアーを処方しました

スピオルトとメプチンエアーの組み合わせは患者さんによっては難しい事があります。

● 当院の場合は院内で吸入方法をお教えしますので、難しければすぐに変更します

心臓に負担がかかって、余分な水分が体にあります。

そのために足がむくんでいる事に対して、

● 尿を積極的に出してあげる利尿剤

を少し処方しました。

ご本人と奥様ご一緒に吸入方法や日常生活の注意点についてご説明します

※ ここからが非常に重要です!

スピオルト、メプチンエアーともにある程度上手に使用することができました。

予定通りの処方となりました。

● 最初から完璧にできなくても構いません

● 通院ごとに毎回練習をして帰れば、もっと上手に吸うことができます

次にご説明する内容は(独)環境再生保全機構のパンフレットを用いて、

● 日常生活の注意点

● 栄養が不足している事について

● 運動について

です。

一つ一つかなり重要ですので、一度に話すのではなく徐々に説明していきます。

ブログに関しても長くなるので、後日にご紹介します。

大事なことは

● 苦しいことはエネルギーを消費します

● 足の筋肉がなくなるだけで息苦しさが悪くなります

苦しい→動かない→お腹がすかない→痩せる→体力が弱くなる→余計に苦しい→さらに動かない→さらに食べない→さらに痩せる→さらに体力がなくなる→さらに苦しい・・・・

この負の循環を止めなければなりません!

所属官庁は環境省である(独)環境再生保全機構ではCOPDに関する詳しい内容が記載されています。

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環境再生保全機構ではぜん息・COPDに関する電話・メール相談をされています。

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投稿者プロフィール

院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
院長:山口裕礼(やまぐちひろみち)
2017年1月、希望が丘(神奈川県横浜市)にて、やまぐち呼吸器内科・皮膚科クリニックを開院しました。